ベートーヴェン 2(横山幸雄)2014/10/01 09:07

ベートーヴェンの作品は、1998年~99年に作品番号のある全ピアノ曲に1年かけて取り組んだ。昨年からスタートした「ベートーヴェンプラス」では、それ以来取り出す作品も多い。今回の「初期のソナタの諸相」でも時間をかけて作品に寄り添うべく練習の日々を重ねた。ベートーヴェンの若い、まだ耳の病にかかる前に書かれた作品はそれぞれに、異なる個性を持ち、異なる輝きを放っていて、確かにこれから華となる熱情ソナタや悲愴ソナタなどの大作を生み出してゆくひたむきさがある。スタンディングオーベーションにこたえてアンコールには、悲愴ソナタの第二楽章をえらんだ。ベートーヴェンが耳の病に不安を持ちはじめる葛藤の時代に書かれた作品であり、来年のシリーズのプログラムの中心に置かれる作品のひとつとして。あとのプログラム構成はこれからのお楽しみだ。


横山幸雄

ベートーヴェン 3(横山幸雄)2014/10/02 08:45

僕にとってベートーヴェンとショパンは重要な作曲家であり、活動の2つの柱といえる。ショパンが友人のような親しみを感じる作曲家であれば、ベートーヴェンは神のような存在であり、強靭なエネルギーを感じる。ベートーヴェンの旅は2020年まで、「ベートーヴェンプラス」シリーズで毎年テーマを持って取り組んでゆく。そして今や5月の連休の恒例ショパンは、ショパン生誕200年の2010年からスタートさせて、来年は6回目となるが、この企画の発想のもととなったのは、そもそも、2005年にジャパンチェンバーオーケストラと演奏したベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲を一気に演奏したことにあるから、やはり、ベートーヴェンとショパンは僕にとっては、幼い頃からどこかで繋がっていたのだろう。

今回のせんくらでは、昨年までのショパンに引き続き、ベートーヴェンのピアノソナタをプログラムにした。「悲愴」と「月光」と「テンペスト」は子どものころから演奏し、デビューしてからこれまで数え切れないほどリサイタルのプログラムに取り上げて、その都度作品の奥深さを感じている。「ワルトシュタイン」も長年弾き続けている作品で、小学5年生のときに第1楽章を演奏したが、弾いていてただただ楽しくてしかたなかった。そして、「熱情」はパリに留学してから学んだが、CDに2度の録音で取り上げた思い入れのある作品だ。

ベートーヴェンが好きな方にはもちろんのこと、僕のショパンを気にいってくれた方には是非とも、せんくらで僕のベートーヴェンを聴いて、音楽のもつエネルギーを感じてもらえれば嬉しい。


横山幸雄