尊敬する指揮者・山田さん(仙台フィルスペシャルカルテット・小川有紀子)2014/09/25 09:26

仙台フィルの公演は全部で五回。そのすべてを山田和樹さんが振ります。今日は彼の話をしましょう。

尊敬する指揮者簡単に言えば、その方が新しくオーケストラを作るぞ~なんて話になったら、しっぽ振ってついていきます的な気持ちにさせてくれる方。ワタシには三人ほどいらっしゃいます。
山田さんは歳はかなり下ですが、日本のみならず世界でも評価されています。その理由は、音や音楽の創造力が凄いからではないでしょうか。

仙台フィルにも持ち音がありますが、彼が振ると音色や流れが変わっていきます。そして、出来上がってきたものにプレーヤーも賛同共感でき、お客さまにもそれが伝わっていくというしくみ。

才能を感じてワクワクo(^-^)oもしますし、負けていられない、要求されるものをいつでも応えられるようにしなくては!と思わせてくださるのです。

今回はたくさんの素敵なソリストと共演も多く、絶妙な相方ぶりを披露してくれるでしょうね。

貴重な一枚とある学校に復興コンサートとして一緒に音楽の授業をさせていただいた時の、事前打ち合わせのショットです。ピアノ弾いてくださいました。

 

仙台フィルハーモニー管弦楽団

ヴァイオリン奏者 小川有紀子



2日目(松坂優希)2014/09/25 08:41

皆様、こんにちは。

松坂優希です。

 

10月5日に行われる「宮沢賢治の聴いたクラシック」。

今回私は、ナビゲーターの萩谷由喜子さんからのリクエストで、ベートーヴェンの月光ソナタより第1楽章、シューマンの子供の情景よりトロイメライ、そしてリストのパガニーニによる大練習曲よりラ・カンパネラを演奏させていただきます。

 

私は、2002年から2006年まで、オランダのロッテルダム音楽院に留学していたのですが、リストのエチュードというと、師事していた恩師、アキレス・デッレヴィーネ先生から聞いた逸話をいつも思い出します。

アキレス先生は南米のご出身で、かの有名なピアニスト、クラウディオ・アラウの元でピアノを学ばれた方です。

アラウはベートーヴェンなどのドイツ音楽を得意とするイメージの強い演奏家ですが、自身がリストの高弟であるクラウゼに師事していたこともあり、リストの演奏においてもまた、一筋縄ではいかぬこだわりを持ったスペシャリストでした。

 

さてさて、時は遡り1960年代。

初めてアラウの家の門を叩いた若き10代のアキレス先生は、レッスン室に通され、まずリストの超絶技巧練習曲を弾くよう言われたそうです。

緊張しつつも1曲を無事に弾き終え、アラウの顔を伺うも、無言。

違うエチュードをもう1曲弾くも、まだアラウは黙ったまま。

仕方なくそのまま数曲弾いていると、おもむろにアラウが立ち上がりピアノの前に腰掛けると、エチュード全曲をさーっと一息に、あたかも息をしているかのように自然に、それでいて信じがたいほどに素晴らしい指さばきと音色でもって弾き切ったんだそうです。

 

「つまりね」にっこり笑うアキレス先生。

「彼にとっては、12曲全て通したものが、ひとつの作品としての”超絶技巧練習曲”だったんだよ」

 

はぁーっと感嘆の息を漏らした私に次の瞬間、予期せぬ一言が。

「じゃあ、ユキの次の宿題はエチュードにしようかな。まずはショパンね」

「ええと……どれをやったらいいでしょうか?」

嫌な予感が胸をよぎる私に、にやりと楽しそうな先生。

「どちらでもいいよ。op.10でもop.25でも、好きな方全曲で!」

 

(ショパンのエチュードは、op.10op.25に、それぞれ12曲ずつおさめられていて、通常は1~2曲ずつ抜粋して順に勉強します)

 

留学一年目の秋。忘れられない思い出です。

 

            アキレス先生と一緒に



松坂優希


いよいよ「せんくら」! (山田和樹)2014/09/24 11:05


「せんくら」ブログリレーのバトンを引き継ぎました山田和樹です。
いよいよ「せんくら」が近づいてきました。僕は29日から仙台入りして準備に励む予定になっています。

ミュージック・パートナーを務めています仙台フィルは今週、下野竜也さんの指揮のもとで定期演奏会をします。こちらにも是非足をお運びいただけたら幸いです。
https://www.sendaiphil.jp/concerts

仙台フィルとの共演にはいつも独特の感動が走っています。現在の仙台フィルのコンディションの良さ、音楽的充実度を一人でも多くの方にお伝えしたいと思っています。

「せんくら」の3日間で、仙台フィルと5公演を共にします。
今回のコンサートマスターのおひとりは我らが神谷未穂さん。
つい先日、東京にて神谷さんのリサイタルにお伺いしてきたのですが、奏でる音楽の素晴らしさはもちろんのこと、トークも交えた楽しい演奏会で「神谷ワールド」を堪能させていただきました。彼女のバイタリティーには僕も敵いません。
「せんくら」最終日には、私と神谷さん、ピアニスト・仲道郁代さんとのトークコーナーもありますので、そちらも併せてお楽しみいただければと思います。

それではまた明日に。


山田和樹

ケーキバイキングみたいなカルテット(仙台フィルスペシャルカルテット・小川有紀子)2014/09/24 09:20

みなさんこんにちは!仙台フィルの小川有紀子です。またせんくらが迫ってきました。すでにいくつかの公演が完売だとか。嬉しいですね!やはり演奏家は、お客さまが自分達を聴きたいと集まってくださると思えた時、アドレナリン、イマジネーション共にアップします。


ちなみに、これまでの演奏経験で体験した最小観客数は二名。暖炉のある素敵なお部屋で、バッハのシャコンヌなどを弾きました。もっといらっしゃるはずでしたので最初は驚き戸惑いましたが、でもこれはこれでまた特別な空気がありました。


今回のせんくらで楽しみなことといえば、まず仙台フィルの公演では指揮が山田和樹さん(≧▼≦)この話は次回に。


そしてもうひとつの目玉はキム・ボムソリちゃん(^^)とのカルテットです。
【公演番号46】
10/4(土)11時00分~11時45分
イズミティ21 小ホール


ボムソリちゃん!なんて書いてしまいましたが、そりゃもう可愛いのです。仙台国際コンクールで私達はお馴染み。可愛い、そして誰にでもその愛らしさで微笑んでくれる。でも演奏は、一本筋の通ったしっかりしたものを感じます。


その彼女とカップリングされたのが、セレーノで一緒、元同僚のヴィオラの佐々木真史と、ずっと知り合いだったのにひょんなことから同僚になってくれた?チェロの首席ソロ奏者、三宅進。

みなさんセレーノはご存知ですね?!西江辰郎、ワタシ、佐々木真史、原田哲男で組んでいるカルテットです。けっこういいものやってたんですよ!


通常カルテットはある程度組んでいるグループのことを指しますが、今回はボムソリちゃんを迎えて、新しいカルテットの結成になりますね。
曲目も、有名どころつかみ取り…といった贅沢なプログラム。普段はお目にかかることはないでしょう。


初めてのカルテットデビューにもぴったりです。
みなさんでケーキバイキングに行くような気分で、どうぞ!!


仙台フィルハーモニー管弦楽団
ヴァイオリン奏者 小川有紀子

1日目(松坂優希)2014/09/24 09:15


皆様、はじめまして。
ピアノの松坂優希です。
この度、初めてせんくらに出演させていただくことになりました。
なんとも豪華な顔ぶれの中恐縮しつつも、こうして素晴らしい音楽の祭典に参加させていただけることを、大変嬉しく光栄に思っています。

今回私が出演させていただくのは10月5日に楽楽楽ホールにて行われる、「宮沢賢治が聴いたクラシック」という公演です。

私は幼少時代、ピアノを弾くのと同じくらい、本を読むことが好きでした。
宮沢賢治も大好きな作家のひとりで、注文の多い料理店やセロ弾きのゴーシュ、猫の事務所やよだかの星……などなどお気に入りの物語は特に、何度も何度も読み返しては、独特のユーモアが随所に光る幻想的な世界観にどっぷり酔いしれたものでした。

文字はなくとも、五線譜の中にもまた、様々な物語が限りなく広がっています。それはたとえば異国の情景であったり、軽やかに飛び回る鳥の描写であったり、はたまた悲嘆や歓喜といった感情であったり。
まだ経験したことのない未知なる世界に遭遇し、それをいざ音で表現してみようとなった時、幼い私の知識と想像力を補い、扉の中へいざなってくれたのは、いつでも「本」であり「文学」でした。

大人になってからも、曲の解釈の上で、また人間としての思想の上でも、文学から得る刺激やインスピレーションが私の音楽人生に与えた影響は計り知れません。
そんな私にとって、尊敬する作家のひとりである宮沢賢治が実はクラシック音楽を愛聴し、それを創作の糧としていたというのは、なんとも感慨深いことなのです。


さて、明日はコンサートにて実際に演奏させていただく作品について、留学中の小話などもまじえながらご紹介したいと思います。
是非、お読み頂けたら幸いです!


松坂優希